からだの不思議 第10回
摩耗しない精密機械・・・関節

 テレビ映画などでガシーンガシーンとけたたましい音を立てて歩くロボットを見たことがあるでしょう。手足の動きはぎこちなく、複雑で微細な動作はとてもできそうにありません。それに比べると、ヒトの手足の動きはなんとスムーズなことでしょう。スムーズな動きの秘密はヒトの持つ精密な関節構造にあります。
 関節は骨と骨とのつなぎ目で、人間の体には約200個あります。関節を動かすことにより体、首、手足を動かすことができます。関節では骨の末端を覆う軟骨同士が接しており、これらは厚い関節包という膜に包まれています。関節包の中には関節液という潤滑油が満たされています。関節軟骨は極めて滑らかな表面構造を持っていて、関節液の働きも加わって、関節は極めて摩擦の低い環境となっています。どれくらい低い摩擦かというと、アイススケートで氷の上を滑るときの摩擦の数分の一だそうです。驚異的なことは、軟骨および関節液は新陳代謝により、摩耗もせず、何十年間も働き続けることです。数十年間も油を差さずに働き続ける機械はおそらく無いでしょう。人間の体の中にはそれがあります。それも、約200個も!! 関節とは人間が長い一生の間、大きな支障なく動き続けるために不可欠な、すばらしい特性を持った機械なのです。
 関節軟骨および関節液の新陳代謝は関節を動かすことによって維持されています。したがって、関節は動かさないと、しまいには、錆びた機械のように動きが重くなってしまいます。私たちの体は使えば使うほど、長く快適に働くように作られているのです。
(西浦 司)
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